ECサイト運営(1)

<まとめ>
インターネットの発展とスマートフォンが当たり前になり、EC業界は市場規模が拡大しています。実際の店舗を出店するよりも、ECサイトへの出店は手軽で安価にできますが、運営する上で様々な業務が発生します。ECサイトの運営業務は多岐にわたり、基礎知識や理解がないと効果的な運営は難しいのが現状です。
では、どんな業務があるか、改めて確認してみましょう。
まずは、ECサイトの構築~準備の業務を確認します。そして次のコラムでは、日々の業務について考えます。

<目次>
●本コラム(構築~準備)
(1) 商品企画
(2) 仕入れ・製造
(3) ECサイト設計、作成
(4) 商品登録・サイト更新
(5) 集客対策
次のコラム(日々の業務)
(6) 受注管理
(7) 在庫管理
(8) 梱包・配送
(9) アフターフォロー
(10) 分析・改善

1.商品企画

商品企画は、ECサイト上でどんな商品を販売するか検討する業務で、非常に重要な業務の一つといえます。

売れる製品を企画・検討する際は、消費者のトレンドや季節などを考慮し、企画を練る必要があることは当然のことですが、単に流行を追いかけるのでは、競合と消耗戦になってしまうこともあります。自分が売りたいという強い情熱を持っている商品であることも、とても重要ですね。

また、商品の原価率や利益率なども計算し、目先だけでは無く、ある程度の期間での売上や利益のプランを作成すると良いでしょう。

2.仕入れ・製造

販売予測や在庫回転率を考慮した販売計画に基づき、商品の仕入れや製造を行うことはEC運営において重要な業務です。

SNSで話題になることで、急激に商品が売れ、在庫がなくなることで販売の機会損失することがあります。よって、複数の仕入先を確保することが重要です。
また、例えば数や継続期間のメリットなどを相手に訴求するなどし、できるだけ安く仕入れる工夫が必要です。

3.ECサイト設計、作成

ECサイトには、モール型と自社サイト(独自ドメイン)型とがあります。
まずは、どのような形で、どこに出店するかを決定します。複数ECサイトへの出店もメリットがありますのでぜひ検討してください。

モール型の場合は、モール側でかなりの機能が用意されており、それらを活用していくことで店舗の設計と構築が可能です。
自社サイトの場合、自前で作成するためにはかなりの技術力が必要であるため、ECサイト構築のためのASPサービスを利用したり、開発業者に依頼することが多いでしょう。
開発業者に委託する場合でも、要望を明確に伝えるためには、ECサイト作成のための注意点を把握しておく必要があります。

ECサイトの構築

ECサイトを設計する際のポイントは多岐にわたりますが、その中でも特に重要と思われるポイントを挙げておきます。

・ユーザーエクスペリエンス(UX)
ユーザーが簡単に商品を見つけられるように、明確で直感的なナビゲーションを設計します。買い物カゴに入れるまで、また、カゴに入れた後のフローも、ストレス無く進められるように細心の注意を払って設計を行ってください。

・レスポンシブ設計
パソコンからだけではなく、スマホやタブレット端末からの注文が大変増えています。モバイルデバイスでも快適に閲覧できるように、レスポンシブデザインを採用する必要があります。

・決済方法
ECサイトにはカードシステム(決済システム)が必要です。
クレジットカード決済の他にも、銀行振込や、後払い決済、コンビニ決済、電子マネー決済、キャリア決済などがあります。決済手数料の負担も検討した上で、商材や購入者のニーズに合わせて、複数用意しておく方が良いでしょう。

・セキュリティ対策
ユーザーのデータを保護するために、SSL証明書を導入します。
また、詐欺のサイト、偽サイトなども存在します。お客様に安心して購入していただけるよう、また、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐためにも、最新のセキュリティ対策を講じていきましょう。

4.商品登録・サイト更新

店舗構築が完了したら、商品の画像やサイズ、カラーバリエーション等、商品の詳細情報の登録が必要になります。これは、店舗構築と同様に商品の売上を大きく左右する重要な作業です。

仕入れた商品や製造した商品をもとに、「撮影」「採寸」「原稿」を行うため、その頭文字をとって「ささげ業務」とも言います。新規の商品を扱う場合には、新たに登録が必要ですので、常に発生する業務です。
広告費をかけるのが難しいECサイトでは、有力なマーケティング活動になりますので、ECサイト運営が未経験な方は、ささげ業務専門の代行業者に任せることも選択肢の一つですね。
また、セールなどを行う場合は、売価の変更も必要になりますので、タイムリーに編集する必要があります。

5.集客対策

ECサイトを立ち上げただけでは、お客様は集まってきません。集客するためには、こちらから積極的なアプローチが必須となります。

ECサイトの場合はWEBマーケティングによる広告がメインです。
具体的には、以下のような方法があります。

集客対策

・リスティング広告(検索結果画面に表示される広告)
・ディスプレイ広告(サイト内やアプリの広告枠に表示される広告)
・アフィリエイト広告(商品紹介による成果報酬型広告)
・SEO(様々な手法により検索流入を狙う)
・SNS広告(FacebookやInstagram、X(Twitter)、LINE等で商品を宣伝)

リスティング広告・ディスプレイ広告はユーザーの行動や特性に合わせた広告を表示する方法です。即効性のある広告ですが、広告掲載費用が必要です。
アフィリエイト広告は、アフィリエイターにより作成された広告からの流入が期待できますが、もちろん費用がかかります。
SEO対策は専門知識が必要であるため、にわか勉強で効果を上げることが難しい施策です。専門の業者に委託することを検討してみても良いでしょう。
SNSを利用したマーケティングは、業者に委託することもできますが、ひとまず自前で予算を掛けずに開始することができます。即効性は感じにくいですが、中・長期的な集客戦略として有効であり、一度拡散されればファンも急激に増え、自社ECサイトや実店舗への集客を増やすことができます。

ここまで、ECサイトの構築から準備までの業務を確認してきました。様々な業務があり、幅広い知識が必要ということがわかりました。
この後実際に、お客様に対して、日々どのような業務が必要なのか、確認してみましょう。
次のコラムの目次はこちらです
●次のコラム(日々の業務)
(6) 受注管理
(7) 在庫管理
(8) 梱包・配送
(9) アフターフォロー
(10) 分析・改善