受注残高とは?受注残との違いや発生原因、課題の解決策を初心者にわかりやすく解説

ネットショップで購入しようとする方から信頼されるECサイトを運営したい方にとって、受注残高の管理は不可欠です。

受注残高の管理を怠ると購入者との間で納品時に不具合が生じたり、正確な経営状態を把握できなかったりするなどの問題が起こります。

しかし「受注残高の意味や対処法について詳しく知らない」という方は少なくありません。

本記事では、受注残高の意味や重要性、適切な管理方法について紹介します。
受注残や受注残高による納品トラブルの防止策も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

受注残高とは?

受注残高とは、注文があった商品の総額のうち、納品が完了していない商品の金額のことです。

受注残高とは?

たとえば、一定期間に以下の注文を受けたとしましょう。

注文No注文内容納品状況
注文110,000円分の商品納品済み
注文212,000円分の商品納品済み
注文37,000円分の商品納品済み
注文410,000円分の商品未納品
注文54,000円分の商品未納品

上記の表を見ると、注文4と注文5が未納品となっており、受注残高の合計は以下のようになります。

10,000円 + 4,000円 =14,000円

また、受注残高は、以下の式から計算できます。

(売上残高+受注高)− 売上高=受注残高

売上残高とは、商品は納品済みで、購入者から料金が支払われる予定の金額を指します。受注高は、注文を受けた時点で入金が予定されている金額のことです。上記の表において、注文1から注文5までをすべて足した43,000円が受注高となります。売上高は商品を納品して入金が完了している金額であり、注文1から注文3の合計29,000円が該当します。
上記の計算式によって受注残高は以下のように計算可能です。

(0円 + 43,000円) – 29,000円 = 14,000円

受注残高は経営状況の把握や納品トラブルの防止のために、適切な管理が重要となっています。

受注残との違い

受注残高と受注残には、以下の違いがあります。

  • 受注残高:購入者のもとに届けられていない商品の総額
  • 受注残:購入者のもとに届けられていない商品の件数

受注残高は商品の金額をあらわしますが、受注残は商品件数を表します。
たとえば、20個の商品が注文されて7個しか納品できない場合、受注残は13個です。13個分の総額が受注残高となります。
また、受注残と似た言葉に発注残があり、それぞれ以下のように異なります。

  • 受注残:購入者から注文を受けた商品のうち、納品できていない商品の件数
  • 発注残:自社が発注した商品のうち、納品されていない商品の件数

同じ商品の件数でも受注残と発注残で対象となる企業や人が異なるので、言葉の扱い方に注意しましょう。

受注高との違い

受注高とは、商品を受注した時点で入金が予定されている金額のことです。
受注残高と受注高はどちらも入金が完了していない金額を指すという共通点はありますが、以下のような違いがあります。

  • 受注残高:注文が入った商品の総額のうち、未納品の商品の金額
  • 受注高:注文が入った商品の総額

たとえば、100万円分の注文を受けて、70万円分の商品だけ先に納品したとします。このときの受注高は100万円で売上高は70万円です。
受注高の100万円から売上高の70万円を差し引いた30万円が、受注残高となります。

受注残高や受注残が発生する原因

受注残高や受注残が発生する原因

受注残高や受注残が発生する主な原因は以下のとおりです。

  • 注文が殺到して在庫が不足している
  • 出荷作業が遅延している

テレビCMやSNSで商品が取り上げられて注文が殺到すれば、通常の在庫では納品が間に合わずに受注残が発生しやすくなります。出荷作業の不具合のように、物流工程におけるミスも受注残が生じる原因のひとつです。

上記のように、受注数が在庫数を上回った際に受注残や受注残高は発生します。

受注残高や受注残管理における課題

受注残や受注残高の発生は商品の需要が高まる可能性があり、将来の売上や利益の見通しも予測しやすくなります。 しかし、受注残高や受注残の管理を怠ると、以下のような問題が発生する場合があります。

  • 購入者との納品トラブルが発生しやすい
  • 正確な経営状態を把握できない
受注残高や受注残管理における課題

管理の仕方に問題があると、自社だけではなく購入者に対しても多大な損害を与えてしまいます。
受注残や受注残高の管理の不備によって生じるリスクを把握して、重要性を確認しましょう。

購入者との納品トラブルが発生しやすい

受注残高や受注残を物流に携わる担当者同士で共有していないと、納品トラブルのリスクがあります。たとえば、在庫管理を複数人で担当している場合、以下のような事態が起こる場合があります。

  1. 購入者Aから20個の商品を受注した
  2. 在庫数は7個しかないため、13個の受注残が発生する
  3. 13個の商品を発注する
  4. 後日、購入者Bから同様の商品を13個注文された
  5. 購入者Aに納品予定の13個の商品を購入者Bに納品してしまった
  6. 購入者Aに納品する商品が不足してしまう

目に見える在庫だけを認識していると受注残を把握できず、上記のような納品時の不具合を引き起こしてしまいます。
受注残を管理しきれずに納品が遅れると会社の信用は大きく下がるため、自社の評判や顧客ロイヤルティが低下するおそれがあります。
担当者同士で受注残を共有していても、ヒューマンエラーで物流工程の不具合を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

正確な経営状態を把握できない

受注残高を認識していないと、正確な経営状態を把握できません。
受注残高は「現時点では入金されていない金額」なので、一般的に経営指標として重視されるのは売上高です。

しかし、受注残高は入金される見込みのある金額であり、今後の企業の業績を分析するうえで重要な指標のひとつです。
受注残高が多いのは購入者からのニーズが確保されている証であり、将来的な収益を見込めます。

会社の経営状態を把握するには、売上高だけではなく将来入金される予定の受注残高も意識しましょう。

受注残高や受注残管理の課題を解消する方法6選

受注残高や受注残の管理を怠ると納品時の不具合や経営状態を把握できないなどの問題が発生するため、対策を施してトラブルを未然に防ぎましょう。

受注残高や受注残管理を解消する方法として、以下の6つがあります。

受注残高や受注残管理の課題を解消する方法6選
  • 受注時に在庫引当を行う
  • 発注残の状況を把握する
  • 受注までの工程を社内で共有する
  • 受注残を分析する
  • 受注残管理と在庫管理を統合する
  • 受注管理システムを導入する

受注残高や受注残を適切に管理できるよう、以下を読んで試してみましょう。

受注時に在庫引当を行う

受注時に在庫引当を行うことで、受注残による購入者との納品トラブルの発生率を低減できます。
在庫引当とは、注文があった時点で受注した数と注文可能な在庫数を区別する管理手法です。たとえば、実在庫数が50個あり、20個の商品が注文された際は以下のように区別します。

  • 受注した数:20個
  • 注文可能な在庫数:30個

上記のように注文が入ったら、実在庫数から受注数分だけを差し引きます。在庫引当によって、注文可能な在庫数よりも多くの商品を受注する事態を防げます。
受注の段階では、注文が確定してから商品を出荷するまでに一定の時間を要するものです。注文後に在庫引当を行わなければ、他の担当者が在庫数以上に商品の注文を受け入れてしまうおそれがあります。

在庫数の事態を防ぐために、注文が確定したタイミングで実在庫数から受注した分を差し引きましょう。

発注残の状況を把握する

受注残による納品トラブルを防ぐためには、発注残の状況も正確に把握しておきましょう。
発注残を適切に管理していないと、以下のような事態を引き起こしてしまうおそれがあります。

  1. 受注残が5個発生した
  2. 「翌日入荷の商品がいくつかあるから問題ない」と認識して商品を発注しなかった
  3. しかし、実際の発注残は4個だったことが発覚する
  4. 再度商品を発注する必要になり、納品が遅れてしまった

上記のように発注残の認識を誤ることで、購入者への納品が遅れてしまうおそれがあります。受注残を管理する際は、発注残の状況もあわせて把握しましょう。

受注までの工程を社内で共有する

適切に在庫を管理するには、受注までの工程を社内で共有することが大切です。
受注した商品の情報や在庫数をスマートフォンやパソコンで確認できれば、担当者間で受注の状況を時間や場所を問わずに共有できます。

掲示板や紙のようなアナログな方法で受注状況を管理していれば、担当者同士の共有漏れで在庫数以上に商品を受注してしまう可能性もあります。

とくに受注管理に携わる担当者が多い企業の場合は、利用しやすいシステムを活用して受注状況を共有するのがよいでしょう。

受注残を分析する

受注残高は将来的に入金される可能性のある金額なので、推移を分析することによって年次や月次の売上高を予測できます。

受注残の情報を可視化して分析を行えば、より正確な経営状況を把握できます。受注残の分析により商品の需要と発注のバランスを適切に調整することも可能です。
受注残の分析によって発注の量を見直せるため、業務の効率化にもつながります。

受注時に在庫数を連携する

受注時にネットショップ間の在庫数を連携させれば、受注可能な在庫数以上に商品を受注する事態を防ぐことが可能です。
受注商品と在庫状況の推移を可視化できるため、適正在庫を把握でき、キャッシュフローの改善にもつなげられます。

受注管理システムを導入する

適切な受注管理を行うには、受注管理システムを導入するのがおすすめです。
受注管理システムとは受注に伴う一連の業務を自動化するシステムで、以下のような機能が実装されています。

  • 受注データの管理機能
  • 受注完了メールの送信機能
  • 受注可能な数と在庫数の連携機能

ネットショップの特性上、24時間いつでも購入することが可能なため、リアルタイムな在庫数連携は受注トラブル回避につながります。
また、受注残高の推移をグラフで可視化し、正確な経営状態を把握することも可能です。

受注残高を適切に管理すること以外にも、以下のようなメリットも受注管理システムにはあります。

  • 伝票を自動作成するので業務を効率化できる
  • 注文内容などが自動で入力されるためヒューマンエラーを防げる
  • ペーパーレス化によりコストを削減できる

「受注管理システムのメリットやおすすめのツールは?」と気になる方は、以下の記事がおすすめです。

参考記事:ECにおける受注管理システムとは?メリットや選び方、おすすめのツールも紹介

受注残高を管理してスムーズにネットショップを運用しよう

受注残高を管理してスムーズにネットショップを運用しよう

受注残高を管理することで購入者との納品トラブルを未然に防ぎ、より正確に経営状態を把握できます。

受注残を適切に管理するためには在庫状況を社内で共有したり、受注時に在庫引当を行ったりするなどの対策が重要です。

自社の受注残の発生要因や課題を把握し、適切に受注管理できるような体制を整えるようにしましょう。

また、高精度な受注管理を行いたい方は、受注管理システムを導入してみてはいかがでしょうか?

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